†君、男~Memory.. limit of grief~


「先輩、卒業おめでとうございます」


卒業式を無事に終え、
生徒会役員は集まり
3年の先輩に花束を贈呈していた。


「先輩がいなくなると
 やっぱ寂しいですね」


「お前等も1年後卒業だろ?」


「考えられないですけどね」


ハハハと笑って燐は後ろで手を組む。
どこかもどかしい様子だった。
そんな姿を見て慎は心配そうに声をかけた。


「悔いだけは絶対残すなよ?
 後1年、思う存分楽しまないとな」


そうだろ?と最後に付け加え
頬を抓る。
痛いです先輩…と抓られたところを
さすりながらも燐は嬉しそうだった。


「みんなも頑張れよ。
 レイン、お前は特にな」


「…」


そっぽ向いて拗ねる恵。
それぐらい分かってると言ったような
表情を出し、慎は呆れてため息をついた。


「大丈夫ですよ都宮先輩。
 レインの事は私に任せてください」


胸を張る燐。
他のみんなもニッと笑った。


「そっか、なら安心だな。
 じゃぁなー、元気でやれよ?」


「みんなバイバイ」


手を振り、花束を上に上げて
3年生の先輩達は帰っていった。


残った2年と1年の生徒会役員は
顔を見合わせる。


「今年は私等の時代だからねー!」


おぉ!と言って恵以外の人達は
拳を空に向かって突き出した。


また新たな1年がスタートする。



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