†君、男~Memory.. limit of grief~


燐と万里は買い物に行かないかと
恵を誘ったが「疲れたから」と言って
そそくさと家に帰っていった。


家に帰るなり部屋に鞄を置き
リビングへと向かう。
リビングでは珍しく仕事が休みだった
母親(ツカサ)は誰かと電話をしていた。
何やら盛り上がっている様子。


その会話の中で聞いた事ある名前が
度々出てくる事に恵は気になっていた。


恵がリビングに居座って30分後。
やっと受話器が置かれる。
置いたと同時にツカサは恵の方を向いた。


「おかえりめぐちゃん。
 ちょっと時間あるかな?」


「何?」


ツカサは電話で話していたことを
恵に説明した。


ニコニコしながらツカサは話を終え
どう?と尋ねるが恵はポカンとしていた。


「それ、本当なの…?」




最後の春は



砂時計をスタートさせた時から始める。



今、この時から―――…





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