†君、男~Memory.. limit of grief~


急な話の変わりに今度は
恵の動きが止まった。
横を見ればさっきまで表情の曇っていたとは
打って変わって目をキラキラさせていた。


喜怒哀楽が激しい人だ。


「私も言ったんだから
 少しだけでも教えてよー」


「…」


じゃぁ―…と言い掛けた時
ドアが開き優介が入ってきた。
それと同時にチャイムも鳴る。


優介が教卓に出席簿を
置いた時だ。
後ろから燐の悲鳴が聞こえてきた。


「えーーー!?」


クラス全員の視線が
そこに集まる。


「安井、どうした?」


「えっ…うわっ!」


辺りを見るとみんなこちらを見ている。
燐と恵は席に戻っていった。


「大丈夫か?」


「大丈夫です!問題ありませーん!」


ブンブン手を振る燐。
優介は納得したのか、
何事もなかったかのようにSTに入った。


燐はすかさず後ろに座る恵に
小声で話しかける。


「さっきの話しホント?
 信じられないぐらい凄いじゃん!
 だって向こうから繋いできたんでしょ?」


「うん…そうだけど」


「ありえない。凄いよ、うん凄い」


何度「凄い」を言っただろうか。
それぐらい燐は興奮していた。


しかし燐には疑問が生まれていた。



何でそんな事あったにも関わらず、
レインは冷静でいられるんだろ…?


少しぐらい何かあっても
いいと思うんだけど…。


けど、少しずつだけど
変わっていってる気がする。
そう思うのは私だけかな?



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