†君、男~Memory.. limit of grief~



「      」


歌い終えた恵。
横では唖然とした湊が
恵の方を見て立っていた。
他のメンバーも固まっている。


燐がゆっくりと手を叩く。
周りで聴いていた人も手を叩き始めた。
拍手喝采だ。


恵は礼をしてスーっと息を吸った。
今の感情を涙ぐんで…。




「ホント凄いね君!
 俺あんな楽しく出来の初めてかも」


「私の方こそありがとうございました。
 何か…スッキリした気分です」


爽快に満ちた表情。
恵の心は歌う前よりずっと
和らいでいたに違いない。



「にしてもレインの歌、
 かなり凄かったよ。
 聴いてる人は感動だね」


「最初は歌う事なんて嫌だったけど、
 今は大分その考えが消えてる」


「…レイン、変わったね」


「え?」


恵は燐の方を見る。
微笑ましい姿だった。
良かった…ホント良かったと呟き
手で顔を覆っていた。


「ありがと…」


本当にありがとう。


数え切れないくらい
君は私を助けてくれた。


素直に言えないけど、
こんなにも感謝の気持ちをもてるのは
君のおかげだね。


ずっと強く生きれた。




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