†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
レインの歌を聴いて、
正直凄いとしか頭に思い浮かばなかった。
全てが伝わってくるような…
感情を吐き出してる。そんな感じがしたから。
テンポが速いのに
歌詞はとてもゆっくりで、
まるで時間のようだ。
私が朱鷺を好きになった事で
毎日が早く感じて、でも
1日1日は長くて…。
卒業が近づく事が怖い。
「遅かったな、帰ってくるの」
「ちょっと寄り道してただけだ」
玄関で靴を脱ぐ恵の後ろで
実也は話しかけてきていた。
その話を流すかのように会話を終了さす。
階段を1段上ったところで
恵は口を開いた。