†君、男~Memory.. limit of grief~
「実也の言ってる事、
分からないわけじゃない。
私だって、何でこんなにも
好きでいるか分からない。
けど…諦める事は絶対ないから」
「―――…」
強い発言。信念を貫いている。
そんな恵に実也は押されるだけだった。
恵が見えなくなった後実也は
歯を噛み締め悔しい思いでいっぱいだった。
次の日実也は学校の前で
優介が来るのを待っていた。
「実也…?どうした、こんなとこで」
「優介さんを待ってたんですよ」
「俺を?」
「えぇ…ちょっとお時間いいですか?」
不適な笑みを浮かべ
実也は優介の車に乗る。
優介は何故実也が自分を待っていたのか
まったく理解できていなかった。
実也は笑みを浮かべたまま
本題に入っていく。
「優介さんが引っ越した後、
レインがどれだけ苦しんでたか
知ってますか?」
「…」
「元々レインは人と接する事は少なかった。
けど、優介さんが引っ越した後は
それがもっとひどくなったんですよ。
今は、少しマシになっているようですけど」
次々と出される実也の発言。
何も言えず優介はただ聞くだけだった。
さっきまで笑みを浮かべていた実也は消え、
怒りをあらわにした表情になる。
「優介さんがどのような考えで
レインを裏切ったかは知りません。
けど…これ以上レインに近づけば…
分かってますよね?」
「…分かって今があるんだ」
「俺は優介さんが嫌いです。
レインが水那高校に入るまで、
どれだけ苦しんでたかのかは
優介さんの想像以上です」
「 」
「レインはもう…壊れかけてますよ」
知らなければ、知らないとこだけ
苦しめばいい。