†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「暖かいな」
次の日の放課後、恵と優介は
屋上に来ていた。
春の心地よさはとても眠気を誘う。
恵は壁にもたれ目を閉じた。
「ここ最近いろいろあって
屋上にも来てなかった。
やっぱりココは落ち着く」
息を吐き、大きく手を伸ばして吸った。
気分がスッキリするこの場所は
今となっては恵のお気に入りの場所となっていた。
「なぁ…レイン」
「ん??」
「GWのどっか空いてる?」
「空いてるけど…何?」
後頭部に手を当てて、
どこかたどたどしい様子。
次の言葉であたりの空気は一変した。
「俺の家遊びに来ないか?
ご飯、作ってやるから」
「え…なんで突然?」
「せっかくの休み、暇だし俺は。
何回か家来てるけどレイン寝てばっかだっただろ?
だから今回は普通に…」
普通に…その後は言わなかった。
優介は口を押さえ、しまったという顔をしている。
恵にはそれが理解できていなかったのか
答えは安易だった。
「いいよ。でもその前に
少し街歩きたい」
貴方が誘ってくれたから、
私も誘いたい。