†君、男~Memory.. limit of grief~
燐の恋
「ごめんめぐちゃん!
GWお父さんも仕事入っちゃって
最終日しか空いてないの。
せっかく旅行にでも行こうかと思ったのに」
「いいよ、仕方ない事だし。
実也も学部の関係で休みないんでしょ?」
「そのとーり」
雑誌を顔に乗せ、
半ばやる気のない返事。
蒼井家のリビングは傷心を抱いていた。
恵は自分の部屋に戻った後
優介に電話をかけ、GWの日時を決める。
恵の声はいつものようにトーンの低い声だったが
内心は喜んでいるに違いない。
気分は晴れていた。
電話を切り、恵は壁にかけてある
カレンダーの前に立つ。
5月5日を指差して。