†君、男~Memory.. limit of grief~

「俺が取ってやろうか?」


自信有な表情。
恵は再び振り返る。


「得意なの?」


「あんまやらんけどな。
 何か昔から結構出来てたから」


そんな事を言っている間に
すべてにぬいぐるみは運ばれていた。
「すごい」と横で呟く恵に「だろ?」と
自慢げに返してきた。


「どーぞ。また部屋に飾っとけよ」


「うん、ありがと」


ゲットしたぬいぐるみを
抱きしめる恵。その姿は普通の女の子と変わらない。
そんな恵を珍しいものを見たような
目で見る優介。クスッと笑みがこぼれた。


「何?」


「いや、別になにもない」


「そう…。あのさ、コレとってくれたお礼に
 今日は私がご飯作るよ」


「えっ?」


「ほら、早く買い物いこ」


分けが分からず優介は恵について行く。


少しずつではあるが、
燐の予感は当たりつつある。




< 323 / 482 >

この作品をシェア

pagetop