†君、男~Memory.. limit of grief~







「須藤、これ会計の書類。
 先生に提出しといて」


燐は持っていた書類を差し出す。


「サンキュ」


朱鷺は燐が持っていた書類を受け取り
すぐ歩き出した。燐は慌てて呼び止める。


「あっ須藤…!」


「ん?」


「いや…あの、その――…」


朱鷺から目を逸らしもじもじしている。
やっと喋りだそうとした時
別の方から朱鷺を呼ぶ声が聞こえてきた。


「朱鷺ー!サッカーしよーぜ」


「おぅ、今行く。悪いな安井、
 俺行くから」


「うん…」


言いたい事も言えず燐は
俯いてしまっていた。
朱鷺の背中を遠く離れた人に見えて、
胸が苦しかったからだろう。


「どうかされましたか?」


「レイン!?」


突然背後から現れた恵。


「えっとー…何でもない!」


逃げるように走り出す燐。
恵は腕を腰に当て呆れていた。
そしてまた背後から、今度は麻耶が現れた。


「恋する乙女は大変ですなー」


「…」


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