†君、男~Memory.. limit of grief~
「あーもー何で逃げてきちゃったんだろ」
恵のもとから逃げてきた燐は、
校舎裏に行きずるずると地面に座った。
頬は赤くなっている。
「…何でこんなに恋って
辛いんだろ」
須藤朱鷺―――…
その名前は私が水那高校に来て
初めて知った名前だったんだよ。
君はもう忘れてるかもしれないけど、
あの日から私の歯車が回り始めたんだ。
何度諦めようとしただろう、この恋。
けど、私もレインと同じように
ずっと思い続けてきたんだ。
忘れようとしても、無理だったから。
寝れない夜が来たのは
初めてだったんだよ―――…