†君、男~Memory.. limit of grief~
 

2年前の春。
最悪な事に私は
水那高校入学式の日に寝坊してしまった。


駅に着いて時刻を見て
間に合うと思って安心していた時だ。


周りに水那高校の制服を着た人はいなくて
本当に焦っていた。



そんな時、自分の乗った駅から
2つ向こうの駅で一人、水那高校の
制服を着た人が乗ってきた事に
私はすごい安心した。


もしかしたら私と同じように
1年生かもしれないと思って見ていたら
どうもその人はイライラした様子。
これは私と同じ寝坊かなーって思ったら
少し顔がにやけたんだ。



するとその人は私に気づいたのか
「あんた1年?」と訊いてきた。


「えっ!あっはい、そうです」


「ふーん…」


澄ました目で燐を見る。
燐の鼓動はいっきに早くなった。


「俺も1年、多分あんたと同じように遅刻」


「はい…」


「名前、何て言うの?」


「えっと、安井燐。貴方は?」


「須藤朱鷺。…あっ着いた」


「えっ?」と、振り返る燐。
確かに降りる駅に着いていた。
朱鷺はすでに降りていた。
燐も慌てて降りて急いで学校へと向かっていく。
< 329 / 482 >

この作品をシェア

pagetop