†君、男~Memory.. limit of grief~
2年前の春。
最悪な事に私は
水那高校入学式の日に寝坊してしまった。
駅に着いて時刻を見て
間に合うと思って安心していた時だ。
周りに水那高校の制服を着た人はいなくて
本当に焦っていた。
そんな時、自分の乗った駅から
2つ向こうの駅で一人、水那高校の
制服を着た人が乗ってきた事に
私はすごい安心した。
もしかしたら私と同じように
1年生かもしれないと思って見ていたら
どうもその人はイライラした様子。
これは私と同じ寝坊かなーって思ったら
少し顔がにやけたんだ。
するとその人は私に気づいたのか
「あんた1年?」と訊いてきた。
「えっ!あっはい、そうです」
「ふーん…」
澄ました目で燐を見る。
燐の鼓動はいっきに早くなった。
「俺も1年、多分あんたと同じように遅刻」
「はい…」
「名前、何て言うの?」
「えっと、安井燐。貴方は?」
「須藤朱鷺。…あっ着いた」
「えっ?」と、振り返る燐。
確かに降りる駅に着いていた。
朱鷺はすでに降りていた。
燐も慌てて降りて急いで学校へと向かっていく。