†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「じゃー体育祭の事はこれで決定」
5月中旬の生徒会会議。
6月下旬に行われる体育祭の話し合いだった。
会議を終えた役員の人たちは
すぐさま片付けに入っていく。
燐が片づけを終えた時には
もう恵の姿はなかった。
「あれ、レイン帰ったのかな…」
「たった今な。
あぁ…そうだ、安井コレ」そう言って
朱鷺は燐に写真を渡す。
「何?」
その写真には懐かしい光景が映っていた。
1年前の夏。クラスで遊びに行った時の写真だ。
「ありがと…」
「うん。じゃ、俺は帰るから」
「――――…」
何でだろ…何でこんなに
遠く感じるんだろ。
前まではもっと近くにいたのに。
今は、遠い―――…