†君、男~Memory.. limit of grief~








「じゃー体育祭の事はこれで決定」


5月中旬の生徒会会議。
6月下旬に行われる体育祭の話し合いだった。
会議を終えた役員の人たちは
すぐさま片付けに入っていく。


燐が片づけを終えた時には
もう恵の姿はなかった。


「あれ、レイン帰ったのかな…」


「たった今な。
 あぁ…そうだ、安井コレ」そう言って
朱鷺は燐に写真を渡す。


「何?」


その写真には懐かしい光景が映っていた。
1年前の夏。クラスで遊びに行った時の写真だ。


「ありがと…」


「うん。じゃ、俺は帰るから」


「――――…」


何でだろ…何でこんなに
遠く感じるんだろ。


前まではもっと近くにいたのに。
今は、遠い―――…





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