†君、男~Memory.. limit of grief~
「あー今日は泣いたな」
6時過ぎ、あれから2時間ほど
中庭で考えていた。
大きく腕を伸ばし、膝に置いていた
ポケットティッシュを見る。
「今日は一番泣いたかも…」
「俺が見た時からずっと泣いてたんだ」
「うん、そう――…って須藤!?」
振り返るとそこに朱鷺が立っていた。
あまりにも突然だったのか燐は逃げようとする。
が、しかし腕を掴まれそれも出来なくなった。
「何で逃げんだよ」
「えっと…それは…」
「俺の事嫌いにでもなった?」
「そんなこと…!」
どうしよう。頭が混乱する。
「最近やたら俺の事さけてんじゃん。
何でか聞きたいんですけど、安井さん」
妙な敬語に戸惑いを隠せない燐。
頬が赤くなっていくのが分かる。
「安井に避けられると
変な感じがする」
「えっ?」
何で?という前に腕を引っ張られ
朱鷺の顔は近くなった。
「覚えてるか?入学式の日、
電車で話した時のこと」