†君、男~Memory.. limit of grief~
「レイン」
「実也…」
日陰で休んでいた恵の所に
体育祭を見に来た実也が顔を出しに来た。
「今でも諦めてないんだよな?優介さんの事」
「当然」
「感心するね、そのひたむきな想い」
壊れていく事を
知っていて――…。
「ひたむきかなんじゃない」
「――――…」
何でそんな風に、強く言葉を
言えるようになったんだよ。
いつからそんな風に、空を
見上げなくなったんだよ。
「おい、レイン!」
息を切らして恵の目の前に
現れたのは優介。
「次、レインが出るやつだぞ。早くしろ」
「もうそんな時間か。今行く」
そう言って立ち上がろうとした時だ。
実也に腕を掴まれた恵は
そのまま実也の方にもたれかかる。
「優介さん。宣戦布告です。
貴方にレインは渡しません」
「 」
汚れた魂など俺には必要ない。
けれど、純粋に磨かれた魂は
決して壊してはいけない。
たとえそれに寿命があるとしても…
最後まで頑張るというのなら
見届けてやろう。
「磨かれた心を、
貴方は今までどんな目で見てきましたか?」
これは、貴方を試す挑戦状だ。