†君、男~Memory.. limit of grief~
「熱冷ましシート買ってきたから、
これ貼って早く寝る」
いつもより強い口調の恵。
優介はそのまま引っ張られ部屋へと連れて行かれた。
強引にも別途に入れられ、恵は
熱冷ましシートを優介の額に貼る。
優介の体は風邪で火照っていた。
「じゃぁちゃんと寝ててね。
私は帰るから――…」と言った時だ。
恵は優介に腕を掴まれ動けなくなっていた。
ついさっき聞いたような弱弱しい声で
「ここにいろ」と言う。
「明日テストだってのは分かってるけど、
…頼む。傍にいてほしい」
「 」
優兄がそんな言葉を口にするなんて…
「わ…かった」
優介の手が離れ、ストンとその場に座る。
恵はそのままずーっと座っていた。
“傍にいてほしい”
私…
“…たった一度だけあいつ、
泣いてた事があるんだ”
私――…知らないうちに
パズルのピースをはめ込んでいってる。
表のパズルを全て合わせたら、
裏を知る事が出来るから…?