†君、男~Memory.. limit of grief~
「お泊り楽しみだね!」
話し合いも終わって帰り途中、
お泊りの話を聞いて嬉しそうな燐とは裏腹に
恵は黙ったままだった。
「どうしたのレイン?」
「…私は、嫌だ」
「え?」
「生徒会を終えることは、
私にとって……」
「…レイン」
燐には分かっていた。
恵が今何に悩んでいるのか。
そしてその悩みが
どれほど大きいものかも。
けれどその大きさは、
今はまだ完全には分からない。
恵と優介を繋ぐモノがなくなってしまうモノを、
その悩みは秘めていた。