†君、男~Memory.. limit of grief~
恵はなめらかに筆を動かし
薄く砂時計を描き始めた。
“have one's eyes opened”
それがこの絵のタイトルだ。
永遠の悲しみと言われた
Eternal griefから目を覚まし、
裏切りによって枯れた薔薇は囁く。
『ありがとう』と―――…
「ふぅ…」
恵は筆を置き椅子から立ち上がって絵を眺めた。
目を覚ました少女は庭園に舞っていた花を見たんだ。
その花は少女を周りを舞い、
まるで時間の経過を忘れさせてくれる…
けれど砂時計だけはそうはさせてくれなかった。
楽しいヒトトキには必ず終わりが来る。
それを思い出させるかのような絵。
少女の楽しみが、この後どうなるか誰にも分からない。
幸か不幸か…
その時になるまで―――…