†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「いくよ!!」
2日目の昼。
昼食を食べた後さっそく
海に行きビーチバレーを始めていた。
後から来たレインはそれには参加せず、
座ってみんなの姿を見ていた。
何度か燐と万里が誘いに来たが
恵は1度も参加する事はなかった…。
胸騒ぎがしたからだ。
朝起きた時から何かを感じていた恵。
その中で何かをするなんて事が
出来なかったのだろう。
「あー楽しかった」
「いっぱい遊んだ後のご飯は
絶対美味しいよね」
きゃっきゃとはしゃぐ燐と万里。
その後ろにいた恵はふと立ち止まる。
「 」
ネックレスがない―――…
胸元を触ると確かにネックレスがなくなっていた。
朝あった事を確信した恵は
昼にいた海の方へと駈けていった。
燐達はその事に気づいていない…。
“修学旅行の時に見つけてさ、
レインに合うかと思って”
あれは優兄から貰った
大切な物なのに―――…
それなのにどうして奪うの?
私が…私が、昨日
月を見てしまったから―――…?
私は、私が求めているものが何か、
分かってしまったの…。
それが合図だった。
泣いてるわ…月を見て泣いている。