†君、男~Memory.. limit of grief~








「いくよ!!」


2日目の昼。
昼食を食べた後さっそく
海に行きビーチバレーを始めていた。


後から来たレインはそれには参加せず、
座ってみんなの姿を見ていた。


何度か燐と万里が誘いに来たが
恵は1度も参加する事はなかった…。


胸騒ぎがしたからだ。
朝起きた時から何かを感じていた恵。
その中で何かをするなんて事が
出来なかったのだろう。  



「あー楽しかった」


「いっぱい遊んだ後のご飯は
 絶対美味しいよね」


きゃっきゃとはしゃぐ燐と万里。
その後ろにいた恵はふと立ち止まる。


「      」



ネックレスがない―――…


胸元を触ると確かにネックレスがなくなっていた。
朝あった事を確信した恵は
昼にいた海の方へと駈けていった。
燐達はその事に気づいていない…。



“修学旅行の時に見つけてさ、
 レインに合うかと思って”


あれは優兄から貰った
大切な物なのに―――…



それなのにどうして奪うの?


私が…私が、昨日



月を見てしまったから―――…?




私は、私が求めているものが何か、
分かってしまったの…。


それが合図だった。


泣いてるわ…月を見て泣いている。



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