†君、男~Memory.. limit of grief~
横に目をやるとベンチに座っている優介がいた。
恵はそこに向って歩いていき、優介の横に座る。
「昨日はホント、ごめんなさい。
ネックレス探してて…それで…」
次の言葉が言えず恵は黙ってしまう。
優介は優しく微笑みかけ「ありがと」と言った。
「ネックレス探してくれただけで嬉しいからさ」
「…」
違う。私はチャンスに背いただけ…。
何も良い事なんてしてない。
貴方の笑顔が見れるような良い事は
してないの――――。
だって私は、最後のチャンスを
捨てたのだから。
きっと…何かが起きる。