†君、男~Memory.. limit of grief~
別れのカウントダウン
「優介、こっち!」
8月下旬。優介が行っていた高校の
同窓会が行われた。卒業して10年が経つのだ。
みんなは昔話に花を咲かせていた。
しかし、優介はどうもそわそわした様子。
何度も辺りを見渡し誰かを探しているかのようだった。
「さっきから何所見てんだよ」
「えっいや、別に」
姿勢を戻す。
それからすっかり同窓会に溶け込んだ優介は、さっきまで
自分が誰かを探している事も忘れていた。
食事も終わりに近づいてきた時
思いっきり扉を開く音が聞こえた。
扉の前では女の人が息を切らして
「まだ、終わってないよね?」と苦笑いで言う。
一瞬の沈黙の後、みんなは騒ぎ出した。
「朋美!久しぶり」「遅かったね」
いろんな言葉が飛び交った。
彼女の名は近藤明美(こんどう あけみ)。
以前恵が優介の部屋で見た
クラスの美女ランキングで1位に選ばれていた人だ。
明美は満面の笑みで友達と会話を広げる。
優介の存在を気にしながら…。