†君、男~Memory.. limit of grief~






「図書室でお勉強?」


個室に顔を出した燐。
放課後恵はここで勉強していた。


2学期に入り、本格的受験だ。
個室は3年生が占めていた。


「あっ文化祭の事万里達に言ったよ。
 みんな大賛成」


ウインクをして言う。
燐は恵の横に座り、教科書やノートを机に置いた。
二人はその日5時半までその個室で勉強した。



生徒会活動を終えた恵は
無論、優介と会う機会は減っていた。


HRやSTの時、数学の授業の時にしか
会うことはなかった。
恵自信それは覚悟していた事。
しかし、だんだん見る事も辛くなってきていた。
最近では俯いている。


放課後、文化祭の練習だけが
唯一の生きがいになっていた。


「じゃー今回は1曲だけの校内祭のみだな」


朱鷺は楽譜を見ながら言う。
9月も終わりに近づいていた。


「そーいえば板谷と蒼井は?」


この場にいない万里と恵の事を訊く和馬。
燐が答えた。


「もう少ししたら来るよ。
 コンビニ行ってるから」


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