†君、男~Memory.. limit of grief~


今いる自分が恥ずかしい。


気づかない自分が
愚か過ぎた―――…



どうしてこんなに――…



pipi…pipi…


携帯の着信がなる。
優介からの電話だった。


あれから家に戻って
ずっと別途で寝ていた恵。
机の上にある携帯を取り
電話に出る。


「やっと出た。
 さっきからずっとかけてたんですけど?」


「寝てた」


「そっか。それよりさ、
 8月の中旬休みがありそうなんだけど
 どっかキャンプ行かないか?
 俺の親がそれで話を進めてるんだ」


「キャンプ?」恵もだんだん眠りから覚めてくる。


「レインの親も一緒にさ。
 元々俺は行けなかったんだけど、
 休みが出来てからかなり浮かれてるんだ」


「それは大変だね」


「…何か怒ってる?」


恵は一瞬黙る。
表情が曇った。


「別に。寝起きだからだろ。
 にしてもよく優兄がキャンプなんて
 行く気になったね。
 めんどくさがりの癖に」


「俺だってせっかくの休みに行きたくないって。
 けど、親と会うなんて年に何回かだし」


「一緒に住んでないの?」


「あぁ。今は一人暮らししてる。
 じゃ、返事聞けたら電話して」


優介は電話を切る。
恵は未だ携帯を持ったままだった。


「…」



優兄…。


私が貴方を見たこと、
知ってる?



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