†君、男~Memory.. limit of grief~

「さっきの人“歌いにおいでよ”とか言ってたけど
 何かしたことあんの?」


湊と分かれた恵達は住宅街を歩いていた。


「以前駅でストリートライブしてるのを見かけて、
 湊さんに無理やり誘われて一緒に歌ったんです」


「へー…凄いな」


感心していると恵は突然立ち止まり、
「今日はありがとうございました」と礼をした。


「また何かあったら絶対言えよ。
 会長の悩みは俺の問題でもありますからね?」


「…私、もう会長じゃないから」


辛そうに言うその言葉を言った恵。
しかし慎は優しく微笑んだ。


「俺の中じゃ、いつまでも会長だけど?
 もちろん他の人もそう思ってると思う。
 言っただろ?レインの周りには助けてくれる仲間がたくさんいるって」


「…ッはい」



時が過ぎてくこの中で、
私は歩いていくしかない。


だからせめて、



“文化祭で歌う歌詞、
 一緒に考えてもらってもいいですか?”



みんなには黙っていよう。



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