†君、男~Memory.. limit of grief~

「あー…次だぁ」


文化祭(校内祭)当日。
舞台裏では緊張のあまり増えている燐がいた。
恵は相変わらず喋らない。


「…」


燐の心はモヤでいっぱいだった。


“…燐、動き出した”


“別れのカウントダウ”


それってどういう意味―――…


ねぇ、レイン…何か言ってよ。
最近のレイン、分かんないよ。


何を考え、何に悩んでるのか…
前はもっと言ってくれたでしょう?


「次は元、生徒会役員の人たちがお送りする
 最強のライブです!どうぞ!」


ねぇ、レイン…私怖い。



ベースの万里と和馬、キーボードの燐。
ボーカルとドラムの朱鷺、
そしてメインボーカルの恵が舞台の上に立った。


朱鷺のドラムから始まる。


さっきまで騒いでいた生徒も、一変にして静まる。


「“Nothing was visible in the dark
 solve a puzzle.last chance
 But disobey
 and...a sandglass is say"good-bye"”」


恵はマイクを握り締める。
そして…


「“貴方を見かけた春 私の想いが届いたのかと感じた”」


「「     」」


メンバー全員が目、そして耳を疑った。
歌詞が違う。
万里は慌てて止めに入ろうとしたが、燐に止められた。
燐はゆっくりと左右に首を振る。


燐は出だしの歌詞を聴いて悟ったのだ。
“これはレインの想い”だと。

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