†君、男~Memory.. limit of grief~







「めぐちゃん!どういうこと?
 歌詞全然違うかったじゃんか!」


舞台も終わって帰る途中だ。
万里は怒っていた。
しかし恵は「ごめん」の一言だけ。
万里は歯を噛み締める。


「やめて万里!…ッお願い」


「燐ちゃん…?」


止めに入る燐。
恵は立ち止まって振り返る。
しかしすぐに前を向き歩き出した。


「何で庇ったの…?」


燐が止めた事に不信を抱く万里。
納得がいってない顔だった。



「…今のレインは耐えてるの、この状況に…。
 自分が負われている“時間”に…。
 今はそっとしといてあげて」


頼み込む燐に万里は言葉を詰まらせる。
そっと朱鷺は燐の頭に手を乗せた。


「何か知ってるからそう言うんだろ?」


「…うん」


「なら俺は何も言わない。
 あいつの後ろ姿見てれば…どんだけ苦しんでるか分かるしな」


俯いて涙を零す燐。何度も頷いた。
その中で、「ありがとう」と言う言葉が
みんなには聞こえていた…。

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