†君、男~Memory.. limit of grief~
「レインと一緒じゃないのか?」
「…数秒前まで一緒でした…。
最近のレイン、様子が変なんです。
私も何も分からなくて」
「そういえば昨日の歌も歌詞が違うかった。
レインは何も言わなかったが…。
確かに最近変だな」
「多分、夏休みからだと思います」
燐の言葉に目を丸くする優介。
一瞬生徒会役員で行ったお泊りの時からかと思う優介だが、
すぐにその考えは打ち消された。
「レイン、こう言ってました。
別れのカウントダウンが動き出したって…」
「 」
「どういう意味か分からなくて
その話はすぐに終わりました。
でも…昨日レインが歌った歌詞を聴いてて思ったんです。
レイン、想像以上に苦しんでるじゃないかって」
優介は何も言わなかった。いや、言えなかったのだ。
自分の知らないとこで確実に壊れていっている恵…。
“レインはもう…壊れかけてますよ”
ふと実也の言葉が頭を過ぎる。
“磨かれた心を、
貴方は今までどんな目で見てきましたか?”
知ることのなかったレインの心情。
今、知ろうとしている。