†君、男~Memory.. limit of grief~





“さようなら”


そんな言葉、レインの口から聞くことなんて
考えもしなかった…


むしろ、ないと思ってた。




 

「…」


門を出た恵は夕日を背に歩く。
前方に実也が立っていた。


「実也…」


「優介さんと何かあっただろ。
 今にも泣きそうな顔してる」


そう言いきる実也。
恵は近づき、実也にもたれかかる。
胸に顔を埋めた。


地面に、服に涙がにじむ。
恵の体は震えていた。


「私…さよならって、言ったから…ッ
 もう――……」


「あぁ…」



壊れてしまう私の心。


失ってしまう私の感情。



この世界が怖い―――…。



貴方がいた幸せ、消えていく。
砂時計のように終わっていくの。


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