†君、男~Memory.. limit of grief~


「あっ佐伯先生!」


一方、あれからずっと放心状態の優介は
中庭で立ちすくんでいた。
そんな優介を見つけた燐は慌てて声をかける。


「レイン見ませんでしたか?
 一緒に帰ろうと思ったんですが…」


「あいつならもういない」


「えっ?」


聞き間違えだよね?と思い燐は顔を上げる。
夕日の眩しさで目を開けているのもやっとだ。
優介の表情もはっきりと見えない。


しかし、手を握り締めている力で分かる。


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