†君、男~Memory.. limit of grief~
叶わない恋と叶えられない恋
「優介?」
「近藤…今から仕事か?」
文化祭明けの休みの日。
会議の帰りのことだった。
優介と明美は再び再会した。
「突然入っちゃって。
優介は…帰りかな?」
「あぁ」
「そう。お疲れ様」
明美の瞳が優しく輝く。
それは、“あの日”から変わらない瞳だった。
「また今度ご飯でも食べにいこ?連絡するから。
じゃ、またね」
軽く手を振って歩いていく明美。
綺麗に伸びた髪がなびいた。
その姿は優介にとって、10年前の事を
思い出すことになってしまった。
それは明美も同じだ。
二人の背が遠くになるに連れて
過去の記憶が甦ってきていた…。