†君、男~Memory.. limit of grief~
「ホントすごかったー。
今でもあの感動忘れられないよ」
ジュースを飲みながら
恵の部屋でくつろぐ3人。
朱音と結菜はまだ興奮が冷めていなかった。
ふと結菜が何か思い出したように
恵を直視する。
「何?」と尋ねると、
「井上がさ、8月4日空いてないか?だって。
ほら、前に言ってた遊ぶやつ」
「あぁ!4日?私は全然いいよ。
レインは?」
「ごめん、その日用事あって」
「えー行けないの?
じゃぁ他の日にしないと」
結局その日はいつ遊ぶかという
話が主だった。
二人が帰った後
恵は絵の部屋に入り、
結菜が気に入ったと言う絵の前に立つ。
「この絵は…仮なの」
そっと額縁をはずし、
中に入っていた絵を取る。
なんとそこにはもう一枚の絵が飾られていた。
裏には「Eternal grief」と
筆記体で書かれていた。
薔薇の上で眠る少女。
目を覚ますことのない、皮肉な絵だった。
起きれないと分かっていて、
信じ続けているの―――…
それは5年前に描いたこの絵が、
私の裏切りによって
すべて枯れてしまった
可哀想な花なのだから――…