†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「燐、昨日私の家来たんだって?
いなくてごめん」
「あっ…うん、全然いいよ」
代休も終わり、普段通り学校に登校してきた恵。
けれど目を合わそうとしない燐。会話が弾まない。
二人は向き合ったまま沈黙が続いた。
そして何も話すことなくチャイムがなる。
席に戻ろうとする燐に恵は一言言った。
「知ってるんだろ…?」
「 」
ハッとして振り返った燐だが
すでに恵は席についていた。他の生徒も座っている。
鳴り響く鼓動を抑え、燐も席に座った。
しかし授業中も恵の事で気が気ではなかった。
早く休み時間になれと願うばかりだ。