†君、男~Memory.. limit of grief~


「そ…そう」


切迫した口調。


「どういった理由で優兄に会いにいったんですか?
 …2年前のオーロラ花火大会、
 一緒にいましたよね?」


「…ッ」


明美は返す言葉もなく、恵から目を逸らす。


「私の事…恨んでますか?」恵は静かに言った。


「私がいなかったら、優兄と別れずにすんだって
 どこかかで思ってるでしょう?」


「…思ってたわよ。でも、
 今更そんなこと思っても仕方のない事でしょ?」


乱暴に言うものの、その言葉には感情がこもっていた。


「そうですね…。でも、それでも優兄の事諦められなかったから
 会いに行ったんでしょ?同窓会も…」


「何で同窓会の事…」それ以上は言わなかった。
 

「別に貴方には関係ないの事でしょ?
 何が言いたいの?」


「ごめんなさい…。貴方が羨ましかったんです」


肩をすくめて悲しげに答えた。


「え?」

< 414 / 482 >

この作品をシェア

pagetop