†君、男~Memory.. limit of grief~







「レーイン!」


「朱音、結菜」


帰る間際、久しぶりに見る二人。
高3になってから会うことはなくなっていた。
階が違うという理由もあるだろう。
久しぶりの再会に朱音達は喜ぶ。


「元気にしてた?
 レインとは階が違うから会えないのが寂しかったよー」


恵にべっとりの朱音。
結菜は苦笑いを浮かべる。


「何か表情暗いよ、レイン」


「…そう見える?」


結菜の質問に少し揺れた肩。
表情は変わらないもの、声が微妙に違う。
戸惑いを隠せていない証拠だ。


「何かあったのー?」朱音が訊く。
恵は口ごもった。


「いろいろ…あって」


その言葉を言うのが精一杯だった。
朱音はそっと恵の手を掴む。


「何があったかは分かんないけど、
 悩んでる事があったら迷わず…
 自分のやりたいようにした方がいいよ?」


「苦しい時は素直になればいい。
 何のために私達がいると思ってるんだ」


「      」


二人の姿が目に焼き付けられる。
校舎に差し込んだ光がいつもより明るい。


それは空が青いから?


君が、強いから…?


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