†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「レーイン!」
「朱音、結菜」
帰る間際、久しぶりに見る二人。
高3になってから会うことはなくなっていた。
階が違うという理由もあるだろう。
久しぶりの再会に朱音達は喜ぶ。
「元気にしてた?
レインとは階が違うから会えないのが寂しかったよー」
恵にべっとりの朱音。
結菜は苦笑いを浮かべる。
「何か表情暗いよ、レイン」
「…そう見える?」
結菜の質問に少し揺れた肩。
表情は変わらないもの、声が微妙に違う。
戸惑いを隠せていない証拠だ。
「何かあったのー?」朱音が訊く。
恵は口ごもった。
「いろいろ…あって」
その言葉を言うのが精一杯だった。
朱音はそっと恵の手を掴む。
「何があったかは分かんないけど、
悩んでる事があったら迷わず…
自分のやりたいようにした方がいいよ?」
「苦しい時は素直になればいい。
何のために私達がいると思ってるんだ」
「 」
二人の姿が目に焼き付けられる。
校舎に差し込んだ光がいつもより明るい。
それは空が青いから?
君が、強いから…?