†君、男~Memory.. limit of grief~
「じゃぁねレイン!
受験頑張ろうねー」
大きく手を振る朱音。
恵も軽く振る。無理しているのが見えた。
肩をすくめため息をついて歩き出す。
門を出たとこで再び声をかけられた。
「蒼井さん!」麻耶だ。
「何?」ため息混じりに言う。
麻耶は相変わらずの笑みだ。
「どうしたの蒼井さん?
最近元気ないよー」
「北瀬さんなら分かってるでだろ」
少しキツイ言葉。麻耶の頬は膨れた。
「前に言ったじゃん。
ずーっと想い続けた気持ちはいつか届くって!
何度切り落とされたって命ある限り
大きくなるって…言ったでしょ?」
「…」
麻耶は腕を組み一言言った。
「今でも好きだよね?」
「それは…ッ」
次の言葉が言えない。
恵は胸元を握り締めた。
沈黙が続く中、後ろから大声で恵を呼ぶ声が聞こえる。
「レイン!!」