†君、男~Memory.. limit of grief~
恋心、空虚
「優兄…」
「 」
12月直前。勇気を振り絞って出た言葉が
その言葉だった…。
「レイン…」
放課後の校舎。薄暗い廊下に二人はいた。
1ヶ月ぶり話すこの空気は緊張があった。
しかし優介は安心した表情。
恵の表情も緩む。
「こうしてレインと話すのが
かなり懐かしく感じるな」
「うん…」
「レイン?」
いつもと様子が違う。
優介は恵の顔を覗き込んだ。
恥ずかしそうに言う。「…ただいま」
「 」
今日だけは素直に、
今日だけは穏やかに―――…
貴方を再び、好きになるために。
「おかえり」
貴方の声を聞きたいから…。