†君、男~Memory.. limit of grief~
「今から帰りなんだけど、
車乗ってくか?」
「うん」
二人は並んで歩く。
こんな光景、いつ以来だろう…。
久しぶりに見る恵の微笑み。
偽りのない純粋な心だ。
そんな気持ちがいつまでもあればいい、
そう願うのが妥当だ。
「レイン、着いたぞ…って寝てんのか」
助手席に座る恵はぐっすりと眠っていた。
クールと言われる恵もこの時ばかりは
子供のように愛らしい。
優介はそんな恵の無防備な
寝顔に対してクスッと笑っていた。