†君、男~Memory.. limit of grief~







「あっ、レインちゃん!」


「湊さん…今帰りですか?」


12月上旬。寒さも身にしみてくる時期だ。
いつものように図書室で勉強していた恵。
その帰りに湊とその友達に会った。


「ちょっとライブしてね」


確かに。と恵は頷く。
背中に楽器を背負っていたからだ。


「その子この間一緒に歌った子?」と
仲間の一人が訊く。


湊は答えた。「そうそう」


「じゃー俺等は帰るわ」


「おぅ。またな」


湊以外の人たちは帰っていく。
二人だけになってしまった。


「今日は一人なんだ」


「…大抵一人ですよ。
 そう言えば、どうしてバンド名“soul/”なんですか?」


「唐突だなーお前」


ハハハと笑う湊。


「soul/…/(スラッシュ)は文とかを
 区切るための線だろ?で、soulは魂。
 俺達は“魂を区切る”って事でその名前にしたんだ。
 人間を魂に置き換えたんだよ」


「…人間を区切るんですか?」


さっきまで笑っていた湊とは一変して
真剣な表情で恵を見た。

< 426 / 482 >

この作品をシェア

pagetop