†君、男~Memory.. limit of grief~


 ど う し て … ?



私の入る場所なんてない。
私は、少しでも可能性のある人に賭けようとは思わないのかな…。



 


遠くて二人の会話は聞こえない。
しかし明美の笑顔は見えた。
数分後明美は去っていく。恵はゆっくりと優介に近づいた。


「レイン?遅かったな。
 遅れるなら電話してくれればいいのに」


「…」


出来なかったの。
貴方の電話番号、消しちゃったから。


それよりも…。


「今、明美さんと話してたよね?」


「見てたのか…」


恵は俯き、手を強く握り締めた。
まるで優介がこっちに来るのを拒んでいるかのように…。
そして静かに言う。


「どうして私を誘ったの?」


「え…?」


「何で明美さんじゃなくて私を誘ったのよ!!」


「お前何言って――…」


「帰る」



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