†君、男~Memory.. limit of grief~
「歩いて30分のところに
滝があるみたいなの。
二人で行って来たらどう?」
恵の母親の意見だった。
私たちはまだ用意しなきゃいけないから、と言い
恵と優介を先に行かせる。
ちょうど3時の時だった。
「滝とかあるんだな、ここ」
「パンフレットに書いてあった」
ポケットからパンフレットを取り出し、
それを優介に差し出す。
二人の会話は弾まなかった。
30分間黙り続け、
だんだん滝の音が聞こてくる。