†君、男~Memory.. limit of grief~
ついに最終学期
一歩踏み出す別れ
「3学期か…もうすぐ卒業なんだね」
「そうだな」
いつもと変わらないお昼休み。
ただ違う事は2ヵ月後にはこの教室にはいない、
と言うことだ。
「レイン…?」
「ん?」
(ストローで)ジュースを飲む恵の姿が
どうも気になる燐。
普段と何も変わらないはずの恵が
何故か違って見えることが頭の中でひっかかっていたのだ。
ジュースを飲み終えた恵はそれを机に置き、席を立つ。
「少し中庭に行ってくる」
ふわりと揺れる髪。
「 」
何故恵が違って見えたのか燐は理解した。
「可愛くなってる…?」
少し緩んだ表情。
冷静沈着と呼ばれている恵、
そのせいか近寄りがたい存在になっていたが、今は違う。
恵のことを誰もが見ていた。憧れと言う文字を浮かべて…