†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
“恵…私たちと
一緒に暮らせないからしら?”
私の生きた証を知ってる人、
その人にはお礼を言いたかった…。
「めぐちゃん、いよいよ明日試験ね」
「うん」
大学試験を目前とした恵。
勉強もひと段落を終え、リビングで一腹していた。
恵は微笑み、勇気を出して話を切り出した。
「ツカサさん…今まで私を育ててくれて、
本当にありがとうございます…」
「どうしたの?急に…」
ツカサはどぎまぎしながら答えた。
恵は無理して笑顔を作り返事を返す。
「見知らぬ私を拾ってくれて、
何に文句も言わずに育ててくれた事がすごい嬉しかった…っ。
けど…いつか捨てちゃうんじゃないかって心配で―――…」
「何でそんな事思うの?
私達は貴方の事本当の子供と思って育ててきたのよ。
めぐちゃんがいたからこそ、私達は幸せと感じてる。
捨てたりなんかしないわ」
「 」
信じてた…
けど、やっぱりどこかで不安があって――
「ごめんなさい…っ」
疑ってた―――…