†君、男~Memory.. limit of grief~





“恵…私たちと
 一緒に暮らせないからしら?”




私の生きた証を知ってる人、


その人にはお礼を言いたかった…。




「めぐちゃん、いよいよ明日試験ね」


「うん」


大学試験を目前とした恵。
勉強もひと段落を終え、リビングで一腹していた。


恵は微笑み、勇気を出して話を切り出した。


「ツカサさん…今まで私を育ててくれて、
 本当にありがとうございます…」


「どうしたの?急に…」


ツカサはどぎまぎしながら答えた。
恵は無理して笑顔を作り返事を返す。


「見知らぬ私を拾ってくれて、
 何に文句も言わずに育ててくれた事がすごい嬉しかった…っ。
 けど…いつか捨てちゃうんじゃないかって心配で―――…」


「何でそんな事思うの?
 私達は貴方の事本当の子供と思って育ててきたのよ。
 めぐちゃんがいたからこそ、私達は幸せと感じてる。
 捨てたりなんかしないわ」


「     」



信じてた…


けど、やっぱりどこかで不安があって――


「ごめんなさい…っ」


疑ってた―――…



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