†君、男~Memory.. limit of grief~
「ここかな?」
「へー…すごいな」
山の中、静かに流れる滝は
心癒されるものだった。
恵は目を瞑り耳を澄ます。
優介はその様子を見て
つい口走る。
「何か無理してんだろ」
「え?」
「さっきから様子が変だ。
見てれば分かる」
「さすが…よく見てるね」
ニヤリと笑って恵は優介の手を掴み、
川に向かって飛び込んだ。
水しぶきで二人の服は濡れる。
「ちょ…お前よくあそこから飛べるな」
5mぐらいの高さから飛んだ二人。
ビックリするのも当たり前だろう。
「階段使うのめんどくさいよ。
ねぇ…この間、7月20日の日
オーロラ花火大会に来てたでしょ?」
「 」
「私も行ってたの…。
優兄は誰と、一緒に行ってた?」
「…」
俯いたままの恵の髪の毛から
ポタポタと雫が落ちる。
その姿に恵はクスッと笑う。