†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「本当なの!?レイン!」
「うん。合格した」
感動のあまり声を失う燐。
恵は国立大学に合格したのだ。
朱鷺も国立に、和馬は私立大学に合格が決まり、
生徒会全員無事に卒業出来そうだ。
やった!と飛び跳ねる燐は鞄の中から
2枚チケットを取り出した。
「これ、レインにあげる。プラネタリウムのチケット。
ここ、ホント凄いみたいだよ。
2枚あるから…先生と行って?」
「…」
ためらう恵。それでも燐はそのチケットを
無理やり恵の手に握らせた。
「お願い。どうしても行ってもらいたいの」
「うん…ありがと」
しっかりと握り締めたチケット。
恵は走り出す。風を切り裂きながら…。