†君、男~Memory.. limit of grief~
「1時…」
待ち合わせ時間1時に丁度ついた恵。
けれど優介の姿は見当たらない。
仕方なく恵は待つことにした。
そんな時…
pipipi...
「電話?」
鞄から携帯を取り出しディスプレイを見る。
『宮原レイン』と表示されていた。
「はい…?」
《あっ、恵?
一つ聞くの忘れてて。卒業式って何時から?》
「ごめん、今外にいて時間書いた紙家なんだ。
また後でかけなおすから」
「そう…。優介君とおでかけ?」
何で分かるんだ?と言わなくても
恵が黙った事でレインは気づいていた。
クスッと笑う声が聞こえてくる。
《もうすぐで卒業なんだから
ちゃんと気持ち伝えた方がいいわよ》
「…無理だよ、私には」
そうでしょ?叶うわけないんだから。
こうやって微笑む事だけでも辛い。
強くなりたいって願ったのに…。
《何があったかは聞かないわ。
けど…後悔だけはしないでね》
「うん…」
恵は電話を切り、携帯を握り締めながら
空を見上げた。
今にも雨が降りそうなぐらい曇っている。