†君、男~Memory.. limit of grief~



「レイン?」


「燐――…」


時刻はもう2時半。
傘も差さず待っていた恵は当然びしょ濡れだ。
燐は慌てて差していた傘に恵を入れる。朱鷺もいた。


「傘も差さず何やってんの?
 ってか、今日プラネタリウムのチケット…」


「来ないんだ」


「      」


冗談でも笑えない一言。信じられない。
朱鷺は燐の鞄を取り、静かに言った。


「探してくれば?俺そこの喫茶店にいるから」


「…ッありがと」


燐は恵の腕を掴み走り出す。
恵は俯きながら「ごめん…」と呟いた。



「何やってんだよ、先生…」



< 459 / 482 >

この作品をシェア

pagetop