†君、男~Memory.. limit of grief~
「先生!」
「安井?どうした」
「どうしたじゃありませんよ!
日曜日、レインとちゃんと話したんですか?」
返事がない。燐は顔をしかめた。
「レインが、笑ってるんです…。
何の違和感もなく…。だからてっきり
先生と話したんだと思って」
「 」
二人は教室にいる恵に目を遣る。
周りにはたくさんの人がいた。
「…日曜日、レインを追いかけたが
見つけることが出来なかった。
まるで、8年のあの雨の日のレインのように
俺は叫んでたんだ―――」
「終わったんですか…?
レインの言う、別れのカウントダウンが。
もう、全て―…」
チャイムが強く胸に響いた。
教室に入ることを拒んでしまう自分の足は
しばらく動けないでいた。