†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「先輩!!今まで本当にありがとうございました!」
三送会。その名のとおり3年生を送る会だ。
一番3年生と深く関わってきた2年は
涙を流す人も少なくはない。
2年の生徒会(万里や燐)も号泣していた。
「あーあー、卒業か…嫌だな」
無事三送会も終わり、燐は朱鷺と二人で
教室に向っていた。ふと朱鷺が立ち止まる。
「あれ、蒼井じゃねーの?」
「え?あ、本当だ」
恵は一枚の紙を手に校舎裏へと入っていく。
二人は後をつけた。
こっそり隠れて恵の様子を見ていると
どうもその紙を見て何かくちずさんでいる。
そして立ち上がり、息を吸った。
「“今までどれくら泣いたのか 分からないけど
泣いた分だけ
好きになってた事は分かる。
雨が嫌い、夕日が嫌い、
レインが嫌いと真っ直ぐな気持ちで
言えたのは本心だった
どうして あの時
言えなかったの本当の事を”」
卒業。口では簡単に言えるけど
その重さは絶大なもの…。
この校舎ともお別れ、
だから私は湊さんにもらったこの歌詞を
この場所で歌いたかった―――