†君、男~Memory.. limit of grief~






「先輩!!今まで本当にありがとうございました!」


三送会。その名のとおり3年生を送る会だ。
一番3年生と深く関わってきた2年は
涙を流す人も少なくはない。


2年の生徒会(万里や燐)も号泣していた。



「あーあー、卒業か…嫌だな」


無事三送会も終わり、燐は朱鷺と二人で
教室に向っていた。ふと朱鷺が立ち止まる。


「あれ、蒼井じゃねーの?」


「え?あ、本当だ」


恵は一枚の紙を手に校舎裏へと入っていく。
二人は後をつけた。
こっそり隠れて恵の様子を見ていると
どうもその紙を見て何かくちずさんでいる。


そして立ち上がり、息を吸った。


「“今までどれくら泣いたのか 分からないけど

 泣いた分だけ
 好きになってた事は分かる。

 雨が嫌い、夕日が嫌い、
 レインが嫌いと真っ直ぐな気持ちで
 言えたのは本心だった

 どうして あの時 
 言えなかったの本当の事を”」





卒業。口では簡単に言えるけど
その重さは絶大なもの…。


この校舎ともお別れ、
だから私は湊さんにもらったこの歌詞を
この場所で歌いたかった―――



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