†君、男~Memory.. limit of grief~
夜、ご飯も食べ終わり
一段楽したところで
男性達は先にお風呂に行っていた。
残された女性達は
コーヒーを飲みながら一服している。
「ねぇ、優介君は
彼女とかいないの?
もう25歳でしょ?」
「それが全然なのよ」
突然始まった会話。
テントの中で横になっていた恵は
その話に耳を傾けた。
「確か高校3年の時1度いたんだけど、
2ヶ月ぐらいで分かれちゃって。
それから一人暮らししてるから
何も聞いてないけど、多分出来てないと思うわ」
「そうなの…いそうな感じなのにね」
「引越しする前よ。何か変わっちゃってね。
そう言った人も興味ないって言ってるの。
一生独身になっちゃうじゃない」
クスクスと笑う美祢。
恵の母親(ツカサ)も笑って話し始めた。
「私のとこも全然よ。
お互い様ね」
「あら、恵ちゃんは可愛いから
いると思ってたのに」
起き上がろうとした恵は
また横になる。
ポケットから十字架のネックレスを取り出し
それを真上に上げる。