†君、男~Memory.. limit of grief~
「レイン!!」
勢いよく開く扉と共に燐が入ってくる。
燐に続いて万里や朱鷺、和馬や麻耶も後ろにいた。
「うわーん!!レインー!」
燐は泣きながら恵に飛びついた。
しかし表情は笑顔だ。
後ろにいた人たちは皆、拍手をしていた。
「こんな卒業式ありえない!感動だよ!
一生忘れられないよー」
「ま、お前ならやると思ってたけど」
「にしてもまさか卒業式で
こんな感動シーンが見られるとわな」
「さすが蒼井さん!
やってくれると思ってました」
「みんな…」
「人気者だな」
「…うん!」
優介は恵の頭を撫でる。
もう嬉しいなんてものじゃない。
こんなにも幸せと思えたことなどない…
生きた証を見つけたのだから――
「ほらほら、写真撮ろうよ!」万里はカメラを振り回す。
「じゃあ私が撮ってあげる。
生徒会メンバーの記念としてね」
麻耶は万里からカメラを預かり、
(グラウンド側の)空をバックにカメラを構えた。
「いくよ!1+1はー?」
「「にー!!」」
弱さを知らない空、輝き続ける。
“レインがいれば、雨も降らないね”
その言葉、今なら信じれる気がする。
End